冷凍食品 品質・産地

一昔前までは味の好みだけで選ばれていた冷凍食品ですが、今日では産地に注目する人が非常に増えてきました。家庭の食卓をあずかる主婦層はもちろんのこと、買い物に慣れている単身者、買い物をする機会があまりないであろうお年寄りまで、冷凍食品を購入するさいは産地をチェックすることがほとんどです。

●冷凍食品を選ぶ決め手は値段と産地
 では、どうして産地に注目が集まるようになったのでしょうか。その原因として、冷凍食品の味の向上があげられます。冷凍食品が誕生してから100年あまり、各メーカーは研究・開発を重ね、今では飲食店の料理とくらべてそん色のない商品も決して珍しくありません。味が同じ場合(もちろん、まったく同じではありませんが)、購入の決め手となるのが値段です。よほど贅沢が趣味な人でもないかぎり、生活費は1円でも安くあげたいと考えるのが自然ですからね。そして、もうひとつの大きな決め手が産地なのです。

●産地を気にする理由
 それまでも一部の消費者団体には国内産の製品をありがたがる風潮がありましたが、それを決定的にし、かつ一般の人にまで広めたのが5年ほど前に起きた冷凍ギョーザ事件です。これは2007年12月から2008年1月にかけて千葉県および兵庫県で起こった事件で、中国の天洋食品製の冷凍ギョーザを食べた3家族・合計10人が吐き気や下痢、発熱といった症状を訴えました(うち5歳の女の子は一時意識不明の重体に)。兵庫県警は、同県高砂市の家族3人に対する殺人未遂容疑で捜査を開始。近畿一円にあるショッピングセンターやスーパーマーケットなどから、被害に遭った家族が食べたものと同じ冷凍ギョーザ(製造年月日も同じ)約450袋を回収します。すべての商品を鑑定した結果、49袋からメタミドホス(農薬や殺虫剤の原料となる有機リン化合物。人体への有害性が高いことでも知られています)を検出しました。この事件は、冷凍食品製造メーカーで働いていた臨時従業員が正社員になれないことに不満を抱き、工場から盗んだメタミドホスを注射器で製品に混入したもので、今年の7月に初公判が行なわれています。

●冷凍ギョーザ事件の影響
 冷凍ギョーザ事件を境に「外国製のものは危険」という風潮が全国的に広まり、一時は冷凍食品の売り上げが落ち込みました。とくに冷凍ギョーザへの風評被害は大きく、店舗によっては製造メーカーを問わず冷凍ギョーザそのものを取りあつかわない店も現れます。同時に、安心して商品を選択するため、冷凍食品の生産地を明記してほしいという声が聞かれるようになりました。日常生活において非常に幅広く利用されている冷凍食品に対する信頼が損なわれれば、食生活に大きな影響を与えてしまいます。そのため東京都では、2009年に都内で消費者向けに販売される調理済みの冷凍食品に対して、原料や原産地の明記することが課されました。

●公的機関の信頼性の低さと民間企業の信頼度の高さ
 しかし、いくら原産地・生産地が明記されていても、そこに書かれている情報がウソでは意味がありません。実際、冷凍食品だけにかぎらず食品の産地を偽装した事件は、例をあげれば枚挙に暇がないほどです。2008年には農林水産省が、食品表示偽装への監視体制を強化するために表示・規格特別調査官を新設しました。通称“食品表示特別Gメン”と呼ばれる連中が、約2000人態勢でJAS法(日本農林規格法)に基づく食品表示違反を取り締まっていますが、お役所仕事でほとんど意味はありません。

 それよりも科学的な鑑定方法を使って産地を確認している民間企業のほうが信用できます。現在ではDNA鑑定や安定同位体比の分析といった鑑定を行なっている企業も現れ、今後はますます増えていくでしょう。将来的には、残留している農薬などの検出まで視野に入れている企業もあります。現時点でも、農薬が残っているかどうかは判別できますが、「確実性がやや低い」「コストがかかりすぎる」という2点から、現時点では採用が見送られているそうです。

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