冷凍食品の日本と海外文化について

今や日本中ほとんどの店舗で売られている冷凍食品。スーパーマーケットをはじめ、デパートやショッピングモールの食品売り場はもちろん、種類はかぎられていますが、コンビニエンスストアにも冷凍食品売り場が設置されています。では海外では、冷凍食品はどのような存在なのでしょうか。世界各国の冷凍食品事情を見てみましょう。

●アメリカ
アメリカの冷凍食品を語るうえで、欠かせないのが冷凍食品売り場の面積です。どんなに小さなスーパーマーケットでも冷凍食品売り場の占める割合は、日本の店舗の比ではありません。大規模な店舗になると、冷凍食品売り場だけで日本のスーパーマーケットの1フロアとほぼ同じ広さがあります。
これは、おもにアメリカの国土が原因です。あまりにも広すぎるために、買い物も一大行事(とまでいうと言いすぎですが)。少なくとも、日本のように「ちょっと買い物に行ってきます」というわけにはいきません。私の友人の女性(日本人)がアメリカに住んでいたときは、日々の生活のなかで必要ななものをメモしておき、週明けに大型スーパーマーケットへ出掛け、まとめて購入していたそうです(週末でないのは、月曜日と火曜日が休日だったため)。
彼女は1週間に1回のペースで買い物に出掛けていたようですが、なかには1ヵ月に1回しか買い物をしないというアメリカ人もいたというので驚きです。1ヵ月近く経っても傷まない・悪くならない食材といえば、必然的にかぎられてきます。広大な国土を持つアメリカにとって、冷凍食品は生活必需品だったのです。

●イギリス
アメリカほどではありませんが、イギリスの冷凍食品売り場も広いスペースを確保しています。売られているのは、冷凍食品とレディーミールという調理加工済み食品。レディーミールは、厳密にいえば冷凍食品ではありませんが、オーブンや電子レンジで温めるだけで食べられるようになるという点で、冷凍食品と同じような性質を持っています。
日本の約3分の2ほどの面積しかないイギリスで、これほど冷凍食品が重宝されているのはなぜでしょうか。原因のひとつが、イギリスが抱えている社会問題“離婚”です。イギリスは離婚率は、日本の約20~30パーセントに対して約40~50パーセント、単純計算で2組に1組が離婚します。単親家庭では仕事・家事・育児などをすべて1人でこなさなければならないため、食事に関する手間はできるだけ省いて時間を節約したいというのが理由です。
またコンビニエンスストアが極端に少ないのも、原因のひとつではないでしょうか。私がイギリスにいたころ、ハートランドという地方に滞在していましたが、日本では考えられないような田舎です。付近にあるお店は個人経営の1軒だけで(駄菓子屋的なもの)、スーパーマーケット的な店に行くには3時間半かかります。もちろん片道で(笑)。国土の面積はちがえど、アメリカと同じく「自宅から店までの距離」も要因のひとつというわけです。

●フランス
フランス料理という絢爛たる食文化のせいで冷凍食品などには縁がなさそうに感じますが、そんなことはありません。ただし冷凍食品の立ち位置は、アメリカやイギリスにくらべて日本寄り。まとめて購入するのに適している点よりも、温めるだけで手軽に食べられる点のほうが評価されています。生活必需品ではなく、あくまで数ある食品のレパートリーのひとつというわけですね。
フランスの冷凍食品メーカーで有名なのが、1906年にレイモン・ピカールによって設立されたピカールです。設立当時はまだ冷蔵庫がない時代だったので、食品や飲料の鮮度を保つための氷を販売する会社でしたが、一般家庭に冷蔵庫が普及しはじめた1962年に、冷凍食品の販売を開始。今ではフランス各地で冷凍食品を専門にした直営店を構え、「フランスでもっとも愛されているブランド」とまで言われています。

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